2005年07月26日
続く人のために 1 田舎暮らしの光と影
続く人のために 1 田舎暮らしの光と影
大川 義文さん(57歳)大阪出身

大阪で解体業を営んでいた大川さんは、大阪の景気が落ちこんだのを機に、紀伊長島に土地を買った。いずれ将来「田舎暮らし」をしてみたかったのである。
場所は紀伊長島の国道42号線沿いにある片上池の前。550坪。その土地の前で淡水魚が釣れる。チヌ、コハダ、アジまでも釣れるのである。この池は海に続いている。紀伊長島には船釣り、磯、砂浜、岸壁と釣りを楽しむなら場所に困らない。
公園が近くにあり、湖のような水面に鴨が浮かび、鳶が飛び交う風景。ここでのんびりと過ごしたいと思った。
しかし隠遁生活をするにはまだ若かった。「何か」をすることを考えた。を自分にできることは「建築物の解体」であり、「人の手配」と「見積書作成」である。
買っておいた土地の一部が県による買収対象となったのをきっかけに、焼肉店を開くことに決めた。「都会のざわざわしたところのほうが好きや」と言っていた父親も、「田舎暮らしなんて」と言っていた妻も説得した。
自宅を建設。そして焼肉店は自宅の隣にローンで建築した。12年のローンを組んだ。焼肉の調理法の修業のため、4ケ月、よく通っていた大阪の焼肉店で働いた。
大川 義文さん(57歳)大阪出身
大阪で解体業を営んでいた大川さんは、大阪の景気が落ちこんだのを機に、紀伊長島に土地を買った。いずれ将来「田舎暮らし」をしてみたかったのである。
場所は紀伊長島の国道42号線沿いにある片上池の前。550坪。その土地の前で淡水魚が釣れる。チヌ、コハダ、アジまでも釣れるのである。この池は海に続いている。紀伊長島には船釣り、磯、砂浜、岸壁と釣りを楽しむなら場所に困らない。
公園が近くにあり、湖のような水面に鴨が浮かび、鳶が飛び交う風景。ここでのんびりと過ごしたいと思った。
しかし隠遁生活をするにはまだ若かった。「何か」をすることを考えた。を自分にできることは「建築物の解体」であり、「人の手配」と「見積書作成」である。
買っておいた土地の一部が県による買収対象となったのをきっかけに、焼肉店を開くことに決めた。「都会のざわざわしたところのほうが好きや」と言っていた父親も、「田舎暮らしなんて」と言っていた妻も説得した。
自宅を建設。そして焼肉店は自宅の隣にローンで建築した。12年のローンを組んだ。焼肉の調理法の修業のため、4ケ月、よく通っていた大阪の焼肉店で働いた。
狂牛病問題の最中だった。しかし2001年、焼肉店「元気」は快調にスタートさせた。客がどっと来た。初めは田舎暮らしなどと言っていたが、この分だとどうなってしまうか、当初そう思った。あまりにも忙しかった。一年がそんな状態で過ぎた。忙しい中でも釣りに出かけてたり、大阪の友人たちを連れて紀伊長島を楽しんだ。やや店もスタート時の忙しさが過ぎ、落ち着いてきた頃からアメリカ牛の輸入ストップの影響で和牛も値が上がり始めた。ボディブローのように効いてきた。原価が跳ね上がった。しかし定価を上げるわけにはいかなかった。いつまで経ってもアメリカ牛は禁止のままで、牛の値が下がることはなかった。肉の質を落とすことも考えたが、客離れが恐ろしかった。しかし、 客が減ってきた。昨年の水害で常連客だった幾組かの家族も来なくなった。都会から長島に移り住んできた若い家族も長島を出ていくことになった。人口がますます減っていくことを実感した。紀伊長島の人口は12年間で15000人から10800に減少している。あと5年でさらに3000人減ると予想されている。
思案に暮れた。このままではローンが払えなくなる。
商売のことを除けば田舎暮らしは快適だった。ストレスがなかった。不便さを感じることもなかったし、人間関係でもストレスはなかった。この生活を失いたくない、という気持ちが強い。
尾鷲不動産をたずねた。焼肉店を売りに出すことに決めた。しかたがなかった。自宅は紀伊長島で職をみつけた息子に住まわせ、娘二人がいる京都で再度、「焼肉店」をやり直す。
E: 失敗の原因は何だと思いますか。
0: 狂牛病による肉の値上がりですかね。アメリカの肉が入ってこなくなった。あと
資金切れです。
E: それだけですかね。タレの味はこの辺の人の舌にあっていたんですか。
O: この辺の人は味噌ダレを求めますよね。ウチは味噌ダレはないんです。
E: あっ、味噌ダレをこの辺の人は好むんですか。知らなかったなあ。
O: この辺の人は「焼肉はホルモンなんですよ」
E: そうですよ。どう違うのですか。
0: 焼肉ってのはロースやカルビ、それにスープやユッケやナムルやビビンバなど
を食べるもんですよ。ホルモンは食べませんよ。でもこの辺の人はホルモンっ
ていうもんですから、今は出してますけど、あれはまさに「放るもん」ですよ。
脂ばっかりでしょ。それを好むんでびっくりしましたよ。
E: そうなんですか。だったら「韓国料理」ってすればよかったんではないですか。
O: そうもいかんのですよ。韓国では本来焼肉はジンギスカンみたいに鉄板で野菜と
一緒に焼くものですよ。日本の焼肉は逆輸入なんですよ、韓国では。
E: そうですか。ということはその「認識」のズレがあったということですか。
O: そうやねえ、わからんのやけどねえ。あらゆる宣伝活動はしたと思うんですが。
E: どうやってですか。
O: 新聞チラシ、割引、ドリンク100円でもやったんですよ。
E: 紀勢新聞、南海日々新聞もしましたか?
O: それはしてません。
E: チラシの何倍もの効果はありますよ。
ところで、率直に感想を言わせてもらいますが、怒らないで聞いてください。
O: ええ、どうぞ、どうぞ、聞きたいですよ。いろいろと意見聞きましたから。
E: このよい景色の場所で「焼肉店」はないんじゃないですか。
O: そうですかねえ。地元の人は景色なんか当たり前で関係ないっていうんですよ。
フランス料理、日本料理はできないしね。
E: だって、焼肉店だったら、地元の客しか見込めませんよ。
O: 何だったらいいんですかね。
E: 窓が大きくあって、池の夜景も見渡せるように、それとエクステリア、インテ
リアとか音楽。わざわざ尾鷲からでも来たくなるような異空間演出が必要じゃ
ないですかね。たとえ焼肉店でも。デザイン性がないと思いますが。はっきり
言って。これではせっかくのロケーションも大阪の鶴橋の焼肉店と中は変わら
ないですよ。その点はご主人もプロではないのだから、そこまで突っ込んで準
備するとよかったのではないか、と思いますね。
まあ何と言っても「味」なんでしょうけどね。
しかし素敵な店で、しかも味がよければ繁盛するんじゃないですか。
内装はとてもよいとは思えませんね。異空間がない。わざわざ尾鷲からは来ま
せんよ。
O: 絶対人口が足りないな、って思うんですよ。
E: それもあるかもしれませんが、やっぱり吸引力がないんですよ。それが何なのか
つかまないと。京都に行っったら、「よしやってやろう」と思ってるんでしょ?
O: 4年間、勉強しましたから。それを京都でぶつけて。京都は相当焼肉店があるら しいですわ。
E: はい。修業のようなものでしたか? で、ここはいいところですか。
O: はい、いいところですね。自宅は残りますから。また来ますよ。本当はここで やれるならやりたいですよ。甘かったですね。
E: 京都では外装、内装、雰囲気、ターゲット客は十分考えないと。
O: そうですか。参考になりますわ。(この点はピンと来ていないようだった)
E: 場末の焼肉店なら徹底してそれで。高級店ならそれに徹するのもいいんと違い ますか。
O: う〜ん、そうですね。今日尾鷲不動産さんと専売契約結びましたから、もう未 練は捨てますわ。
E: ご自宅には裏にプールもありましたね。
O: 孫たちが来るんで。(とにっこり)ここで犬も3匹入って孫達も一緒に水浴び したんですよ。
どうも気になった。(次回に続く。不振の謎解きへ)
思案に暮れた。このままではローンが払えなくなる。
商売のことを除けば田舎暮らしは快適だった。ストレスがなかった。不便さを感じることもなかったし、人間関係でもストレスはなかった。この生活を失いたくない、という気持ちが強い。
尾鷲不動産をたずねた。焼肉店を売りに出すことに決めた。しかたがなかった。自宅は紀伊長島で職をみつけた息子に住まわせ、娘二人がいる京都で再度、「焼肉店」をやり直す。
E: 失敗の原因は何だと思いますか。
0: 狂牛病による肉の値上がりですかね。アメリカの肉が入ってこなくなった。あと
資金切れです。
E: それだけですかね。タレの味はこの辺の人の舌にあっていたんですか。
O: この辺の人は味噌ダレを求めますよね。ウチは味噌ダレはないんです。
E: あっ、味噌ダレをこの辺の人は好むんですか。知らなかったなあ。
O: この辺の人は「焼肉はホルモンなんですよ」
E: そうですよ。どう違うのですか。
0: 焼肉ってのはロースやカルビ、それにスープやユッケやナムルやビビンバなど
を食べるもんですよ。ホルモンは食べませんよ。でもこの辺の人はホルモンっ
ていうもんですから、今は出してますけど、あれはまさに「放るもん」ですよ。
脂ばっかりでしょ。それを好むんでびっくりしましたよ。
E: そうなんですか。だったら「韓国料理」ってすればよかったんではないですか。
O: そうもいかんのですよ。韓国では本来焼肉はジンギスカンみたいに鉄板で野菜と
一緒に焼くものですよ。日本の焼肉は逆輸入なんですよ、韓国では。
E: そうですか。ということはその「認識」のズレがあったということですか。
O: そうやねえ、わからんのやけどねえ。あらゆる宣伝活動はしたと思うんですが。
E: どうやってですか。
O: 新聞チラシ、割引、ドリンク100円でもやったんですよ。
E: 紀勢新聞、南海日々新聞もしましたか?
O: それはしてません。
E: チラシの何倍もの効果はありますよ。
ところで、率直に感想を言わせてもらいますが、怒らないで聞いてください。
O: ええ、どうぞ、どうぞ、聞きたいですよ。いろいろと意見聞きましたから。
E: このよい景色の場所で「焼肉店」はないんじゃないですか。
O: そうですかねえ。地元の人は景色なんか当たり前で関係ないっていうんですよ。
フランス料理、日本料理はできないしね。
E: だって、焼肉店だったら、地元の客しか見込めませんよ。
O: 何だったらいいんですかね。
E: 窓が大きくあって、池の夜景も見渡せるように、それとエクステリア、インテ
リアとか音楽。わざわざ尾鷲からでも来たくなるような異空間演出が必要じゃ
ないですかね。たとえ焼肉店でも。デザイン性がないと思いますが。はっきり
言って。これではせっかくのロケーションも大阪の鶴橋の焼肉店と中は変わら
ないですよ。その点はご主人もプロではないのだから、そこまで突っ込んで準
備するとよかったのではないか、と思いますね。
まあ何と言っても「味」なんでしょうけどね。
しかし素敵な店で、しかも味がよければ繁盛するんじゃないですか。
内装はとてもよいとは思えませんね。異空間がない。わざわざ尾鷲からは来ま
せんよ。
O: 絶対人口が足りないな、って思うんですよ。
E: それもあるかもしれませんが、やっぱり吸引力がないんですよ。それが何なのか
つかまないと。京都に行っったら、「よしやってやろう」と思ってるんでしょ?
O: 4年間、勉強しましたから。それを京都でぶつけて。京都は相当焼肉店があるら しいですわ。
E: はい。修業のようなものでしたか? で、ここはいいところですか。
O: はい、いいところですね。自宅は残りますから。また来ますよ。本当はここで やれるならやりたいですよ。甘かったですね。
E: 京都では外装、内装、雰囲気、ターゲット客は十分考えないと。
O: そうですか。参考になりますわ。(この点はピンと来ていないようだった)
E: 場末の焼肉店なら徹底してそれで。高級店ならそれに徹するのもいいんと違い ますか。
O: う〜ん、そうですね。今日尾鷲不動産さんと専売契約結びましたから、もう未 練は捨てますわ。
E: ご自宅には裏にプールもありましたね。
O: 孫たちが来るんで。(とにっこり)ここで犬も3匹入って孫達も一緒に水浴び したんですよ。
どうも気になった。(次回に続く。不振の謎解きへ)
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