2005年08月06日
一本釣師をめぐって 最終
はっきりしている。決断をそう簡単に覆すのは嫌らしい。
「魚は赤物にこだわっているの?」
「そう。網でかかるのは釣っても安いし。イカもケンケンもやんない。底物のプロに
なりたいんだ」
「数寄屋橋次郎っていう寿司屋の主人が本に書いてたけど、そこでは鯛は使わないんだって。白身はヒラメらしい。明石の鯛が常時手に入らないから、と言っていた。これにはヒラメもかなわないって。この鯛には尾ひれの近くの骨にコブがあるらしい。それが明石の鯛だって。そしたら伊勢の鯛にもこぶ付の鯛がいるってことがわかったらしいよ。紀州の鯛でそんなのはいないのかな」

「魚は赤物にこだわっているの?」
「そう。網でかかるのは釣っても安いし。イカもケンケンもやんない。底物のプロに
なりたいんだ」
「数寄屋橋次郎っていう寿司屋の主人が本に書いてたけど、そこでは鯛は使わないんだって。白身はヒラメらしい。明石の鯛が常時手に入らないから、と言っていた。これにはヒラメもかなわないって。この鯛には尾ひれの近くの骨にコブがあるらしい。それが明石の鯛だって。そしたら伊勢の鯛にもこぶ付の鯛がいるってことがわかったらしいよ。紀州の鯛でそんなのはいないのかな」
山崎さんは目をきらっとさせた。
「いい話を聞いたよ。やってみる」
「今度、その本持っていくよ」
「このアルバイトはきつい?」
「きついね。もうしばらくの辛抱だからね。三木浦の組合長には感謝している。仕事を紹介してくれたんだ。感謝だよ。そうやって漁師を続けられるんだ」
再び市場へ
翌日久保さんのところへ礼を言いに行った。市場は人が多い。
「ちょくちょく若いのがくるらしいけどの。続かんらしい。海のことらあ、誰も教えてくれんしの。下手したら死ぬでの」
「漁師になりたい人を受け入れる体制を漁協が作ればええやないかな。講座くらいないん?海のこと、天気のこと、釣技のこと」
「まあのう。まだないのう。固定収入がないとのう」
「いろいろな副業をしながら好きな釣りをするというのも案外良い手やな」
「そうやな。みんなそうやで」
久保さんにもらったカツオは美味しかった。久保さんは漁師たちが揚げる魚で生きている。天然魚が少なくなっているのと、養殖魚が増加するのをずっと見てきた。尾鷲の漁業を活性化する有効な手立ては今のところない。
「いい話を聞いたよ。やってみる」
「今度、その本持っていくよ」
「このアルバイトはきつい?」
「きついね。もうしばらくの辛抱だからね。三木浦の組合長には感謝している。仕事を紹介してくれたんだ。感謝だよ。そうやって漁師を続けられるんだ」
再び市場へ
翌日久保さんのところへ礼を言いに行った。市場は人が多い。
「ちょくちょく若いのがくるらしいけどの。続かんらしい。海のことらあ、誰も教えてくれんしの。下手したら死ぬでの」
「漁師になりたい人を受け入れる体制を漁協が作ればええやないかな。講座くらいないん?海のこと、天気のこと、釣技のこと」
「まあのう。まだないのう。固定収入がないとのう」
「いろいろな副業をしながら好きな釣りをするというのも案外良い手やな」
「そうやな。みんなそうやで」
久保さんにもらったカツオは美味しかった。久保さんは漁師たちが揚げる魚で生きている。天然魚が少なくなっているのと、養殖魚が増加するのをずっと見てきた。尾鷲の漁業を活性化する有効な手立ては今のところない。


